グレープフルーツとお薬との併用に御用心
夏は暑いです。清涼な飲み物が欲しい季節となります。しかしながら、そこに問題が生じる場合があります。グレープルーツです。
ある日、Aさんが、予約より早く受診しました。「先生、急に眠気がひどくなって。もう、日中に起きていられないくらいになって、仕事を早退したくらいです。一体どうしたんでしょうか」。
私はAさんに尋ねました。「グレープフルーツジュースを摂取していませんか。摂取すると、薬の効き目が強くなりすぎる可能性があります」。していないということであったので、最近摂取し始めた飲食物に、グレープフルーツの成分が含まれていないかどうか、確認をお願いしました。
1週間後に、Aさんは再び受診しました。「先生、調べてみたら、最近飲み始めたスポーツ飲料が、グレープフルーツの果汁入りでした。それを飲むのを止めたら、眠気はなくなりました」。
なぜこのような現象が生じるかですが、Aさんは、アルプラゾラムを服用しておりました。グレープフルーツに含まれる成分が、アルプラゾラムの代謝に関わる酵素の働きを阻害するため、アルプラゾラムの血中濃度が上昇して作用が増強したのです。当院で処方することがある薬剤では、ブロチゾラムでも同様の現象が起こり得ます。一方で、クロチアゼパムでは、そのリスクは小さいです。
グレープフルーツジュースは、欧米とは異なり、日本において一般的には、それほど高頻度には摂取されないように思います。ただし、夏季は、清涼感を求めた飲食物にグレープフルーツの成分が含まれているのを知らずに摂取し、急にとても眠くなってしまうリスクが高まるかもしれません。
もちろん、グレープフルーツそのものにはなんの問題もありません。美味しい果物です。ただし、アルプラゾラム、トリアゾラム、ブロマゼパム、エチゾラム、ブロチゾラム、ジアゼパムといった薬剤を服用している患者さんにおいては、グレープフルーツの摂取について、相互作用の観点から注意が必要となることを御認識いただけますと幸いです。
