治療を続けることの重要性について
当院を開院して、2年以上が経過しました。これだけの期間が経過すると、症状が概ねなくなり、平常の精神状態が維持され、治療終了に至る患者さんがだんだんと増えてきて、私としても嬉しいです。ただ、喜んでばかりもいられない実情があります。
当院のウェブサイトにて説明しておりますが(リンク)、たとえばうつ病を初めて発症した患者さんの場合、症状が概ね消退した後、半年間は抗うつ薬治療を継続することが、再発を防ぐ上で重要となります。しかしながら、実際には、症状が改善すると間もなく来院しなくなってしまう患者さんがおり、数カ月から1年程度の時間が経過した後に再発し、治療の再開を余儀なくされる方が、時折来院されるようになっております。
症状が改善したあとも、半年間(すでに再発を経験している患者さんの場合はさらに長期間)の治療継続が必要なことは、診察に際して説明しているのですが、現実問題として、早すぎる治療中断による再発を経験する患者さんが存在するということは、私の説明の仕方に工夫が必要であるかもしれません。
この機会に改めて申し上げますが、精神疾患においては、一過性の感染症等とは異なり、症状が改善した後も、再発予防のために、半年あるいはそれ以上の治療継続が必要な場合が少なくないのです。疾患、病状、経過によっては、生涯におよび服薬治療を続けることが、患者さんにとって有益である場合もあり得ます。
人生は一度きりです。長い人生を、生活の質を最大限に保ちつつ過ごすことを可能とするためにも、ある程度長い目で治療を続けていただけるよう、お願いしたい次第です。
私自身も、受診される患者さんの苦悩を軽減すべく、初心を忘れず、できる限りの努力を続けて行きたいと考えております。