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ちくわ大作戦

[2023.06.14]

 精神的に余裕を失った患者さんの多くに共通する思考パターンがあります。それは、「現時点で担うべき役割を全て遂行できなければ、自分には存在意義がない」というものです。
  以下の図で考えてみましょう。元時点において全ての役割を完璧にこなさなければならない、これは、ちくわを横に切るような思考です。時の流れを無視した考え方です。

 しかしながら、ちくわは、縦にも切ることができます。つまり、現時点で全て帳尻を合わせられなくても、時の流れの中で、将来的に帳尻を合わせることは可能なのです。現時点において、家族に苦労をかけたなら、将来、家族が苦境に陥ったときに支援すれば、帳尻は合います。現時点において、同僚に苦労をかけたなら、将来、同僚が苦境に陥ったときに支援すれば、帳尻は合います。

 ちくわを横に切るか縦に切るかを特に考えなくても、人は皆、通常、このようにして生活を営んでいます。自分が苦しい時期には支援してもらい、他人が苦しいときには支援する、それを、意図せず繰り返しています。

 ところが、精神的に追い詰められると、ちくわが縦に切れなくなってきます。現時点ですべての帳尻を合わせなければ、という、横に切る思考になりがちなのです。そうなると、精神状態はますます不安定になってしまいます。

 今、苦境に陥っているなら、誰かの力を借りましょう。現時点で帳尻を合わせる必要はないのです。時の流れの中で、将来、誰かに力を貸してあげれば、帳尻は合うのです。

 私は、医師としては然るべき見識経験を有しているものの(自信過剰?)、経営者としては素人に毛が生えた水準であり(毛も生えていないかもしれない)、従業員や家族に苦労をかけていますが、ちくわを縦に切る思考で、いつかは苦労に報いたいと考えつつ、困難に直面しつつも日々の業務をなんとか遂行しております。

 ちなみに私は、ちくわはあまり好きではなく、細長い形状の食べ物としては、きゅうりが好きです。タイトルは、ちくわ大作戦ではなく、きゅうり大作戦にすべきであったかもしれません。

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